2017年6月22日木曜日

SoEを理解する

前回、SoRの今後なんてことを書き走ってしまいましたが、よくよく考えると、SoRはなんとなくイメージ(これまでの企業システム)できるものの、SoEの理解が不十分なことに気がつきました。

そんな訳で、Google先生の登場です。SoR、SoE、SoIあたりでキーワード検索してみます。

SoEとSoRの分類ってどうなの?
実は身近なSoE 「絆のためのシステム」といわれるその意味とは
私論: システム・オブ・エンゲージメント(SoE)


うーん、やっぱりよく分りません。
かなり、バズワード化しているように感じます。


ですが、元々の出典は、2011年に、Geoffrey Mooreさんが言い出したことは分りましたので、原著に当ってみることにします。以下が、引っかかってきました。
Geoffrey Moore - The Future of Enterprise IT


やはり、原点に立ち返るのは良いことです。何となく、2011年時点で、Geoffrey Mooreがどのような考えでこの言葉を用いたか、少し理解できた気がします。
その、何となくの理解を、備忘録がてら書いてみると以下のような感じでしょうか。

スライド20(p.19)を意訳すると、
  1. 現在のITは、大別して、2通りのシステムに分けられる
    1.  System of Record:Our interstate highway system。企業基幹システム同士が相互に繋がる。IT黎明期より投資され、完成されている。[1]
    2. System of Engagement:The next frontier。この10年で爆発的に起こった、SNSやブログ、Twitter等の個人消費者向けのエリア。[2]
  2. 企業システムは今後、個人消費者対応(Consumerization)が必要
    1. サーバー仮想化、ホスティング、SaaS、PaaSといったインフラ面の進化[3]
    2. 情報検索、簡易コミュニケーション、位置情報、動画といったアプリケーション面の革新[4]
  3. 企業内でのSoE推進
    1. ピラミッド型の組織から、コミュニケーション(Communication)-共同(Coordination)-協業(Collaboration)を中心としたネットワーク型の組織へ。[5]
    2. Global-Mobile-Social-Virtualの原則を元にした、組織の中間層へのIT投資を。[6]
    3. Early wins from moments of engagement.[7]

[1]スライド3(p.2)より
[2]スライド6(p.5)より
[3]スライド8(p.7)より
[4]スライド9(p.8)より
[5]スライド12(p.11)より
[6]スライド13(p.12)より
[7]スライド19(p.18)より

ちなみに、Consumerizationは、GartnerによるIT用語に挙がっていますが、適切な日本語は分りませんでしたので、適当に訳しました。
Consumerization is ...

一番最後の3-3は、何となく分るのですが、良い訳が思いつかなかったため原文のままとしています。「先んずるものがSoEを制する」みたいなのかもしれませんが、ここが理解のポイントかもしれません。

いずれにしろ、原著(と思われるもの)に当ったお陰で、Geoffrey Moore氏の主張としては、SoEは個人消費者向けサービスエリアを指し、企業ITシステムのConsumerizationや、企業組織のSoE化が必要だと言っているのだと理解しました。
バズワードが最終的にどこかに落ち着くように、今後、SoEという言葉自身の意味合いが変っていくのかもしれませんが、2011年時点の方向性としては腑に落ちた気がします。


最後に、私的には、スライド17(p.16)が一番しっくりきたように思います。
  1. SoRは効率性を高める
    1. 世界経済の楚となっている
    2. コストや品質、契約の履行を重視している
  2. SoEは効果を高める
    1. 世界中のビジネス上の複雑な関係性を指し示す
    2. オンラインでの消費者との交流を形づくる
  3. 正しいアーキテクチャー
    1. SoEは、SoRを土台にして、SoRと接しながら稼動する
    2. その接点に、ITインフラの進化(クラウド化)が発生する

SoRはSoRとして今後も必要なこと、SoRとSoE双方が必要なこと、SoRとSoEの接点として、クラウドが必要とされることが、シンプルに纏められています。
これからは全てSoEだったり、何でもかんでもクラウド、といった訳ではないということで、とりあえず、SoEというバズワードへの対処法の整理はいったん完了。

2017年6月14日水曜日

SoRの今後

人工知能だの、SoE等の言葉が巷で溢れる昨今ですが、そんな中、SoRのシステムは今後どうなっていくのか、なんてことに思いを馳せたりしてします。

 そんな中、少ないなりにも自身の経験や知見から気になるのは、改修に改修を重ねられてきた既存仕様だったり、現行システムが前提としている業務運用をどうやって担保していくかという点です。いくつかの業務パッケージの刷新に立ち会ったり、銀行システムのメインフレームから新アーキテクチャーへの移行等といった話を見聞きする中で、既存仕様が結構トラブルのポイントというか、課題の1つであるとの認識を強くしています。

自身が関った業務アプリケーションの業務ノウハウも、若手にはなかなか吸収されないなぁという印象があったのですが、組織の自助努力で簡単に解決出来るものではなく、旧くて新しい問題であろうと思います。

今もちょうどそんな場面に接していて、気になったのでソフトウェア・モダナイゼーションについてググってみました。

英語でググったのもあるのですが、いつもは表示される、日本語のWikiが上がってきません。仕方ないので、Wikipedia英語版の記載を開いてみます。
Software modernization

このページからも、日本語ページに行けません。日本語の該当ページがないようです。

意外に思いながらも、英語版を読んでみます。なかなか、我が意を得たりの記載がありました。

Primary issues with a legacy system include very old systems with lack of documentation, lack of SMEs/ knowledge on the legacy systems and dearth of technology skills in which the legacy systems have been implemented. Typical legacy systems have been in existence for more than two decades. Migrating is fraught with challenges:
そうなんですよね。
結局、どこも、文書が最新版でなかったり、業務知識が受け継がれず、ソースコードが最新仕様という中で、ソフトウェアを最新技術に置き換えなければいけない訳です。

なんてことを感慨深げに考えていたら、日本語のページがあるのに気が付きました。
ITシステムのモダナイゼーション、二つの落とし穴


どうやら、日本ではITモダナイゼーションという言葉で通じるようです(Wikipediaには載っていないようです)。
また、記事中には、従来型モダナイゼーション手法として、リライト、リビルド、リプレースと言った用語が使われています。 他の「ITモダナイゼーション」の紹介ページでも同様の用語の使用があるので、ある程度一般化しているのかもしれません。

他方、英語の記事で引っかかったものを見てみると、若干相違があるようです。
A Fast Track to Modernizing VB6 Code to .NET

こちらで使用している用語は「Software Modernization」で、Rewrite、Replace、Re-use、Transformだそうです。


私が見聞きしたプロジェクトは、リビルドなり、Transformを、段階的なステップを経ずに、一気にしようとしていたように思います。このため、非常な困難に直面したのかなと。


これを踏まえ、SoRのシステムは、今後どのような命運を辿るのでしょうか。
ちょっと直ぐには思いつかないので、今日はこの辺りで。